テキサス インスツルメンツ、世界最小マイコンを発表 医療ウェアラブルや小型IoTに革新



ダラスに本社を置くテキサス・インスツルメンツ(TI)は、世界最小のマイクロコントローラーユニット(MCU)「MSPM0C1104」を発表しました。そのサイズはわずか1.38mmで、黒コショウの粒ほどの大きさです。この超小型MCUは、医療用ウェアラブルや電動歯ブラシ、スタイラスペンなど、今後さらに小型化が求められる製品への応用が期待されています。

TIは、この新製品をドイツ・ニュルンベルクで開催された「Embedded World 2025」で披露しました。MSPM0C1104は、TIのArm Cortex-M0+ベースのMSPM0ポートフォリオに属し、高性能と省スペース性を両立しています。特に医療プローブやイヤホンのような超小型デバイスにおいて、基板スペースの確保は重要な課題であり、このMCUの登場は大きな前進といえるでしょう。



本製品は、8ボールのウェーハチップスケールパッケージ(WCSP)を採用しており、競合製品よりも38%小型化されています。また、16KBのメモリ、12ビットADC(3チャンネル)、6つの汎用I/Oピンに加え、UART、SPI、I2Cといった標準通信インターフェースに対応しており、小型ながら高機能です。

TIは「高機能で小型、そしてコスト効率の良い製品を求める市場ニーズに応える製品」として、このMCUが今後の小型エレクトロニクスの可能性を大きく広げると述べています。

さらに、テキサス・インスツルメンツはテキサス州に対する積極的な投資でも注目されています。最近では、シャーマン市に新たな半導体製造工場の建設を進めており、総額300億ドル規模のプロジェクトとなる見込みです。

このプロジェクトにより、数千人規模の雇用創出が見込まれ、地域経済への貢献も大きく評価されています。また、ダラス地域におけるSTEM教育支援や地域パートナーシップにも力を入れており、TIは単なる技術企業にとどまらず、地域社会の発展に深く関与する存在として存在感を高めています。

Source:  Dallas Innovates

関連記事:
TI(テキサス・インスツルメンツ)が「ジャック・キルビーの日」を祝い、集積回路の発明を称えるSeptember 24, 2023
テキサス・インスツルメンツ、半導体工場建設 最大16億ドル(約2500億円)の補助金獲得で生産強化へ【Sherman】January 08, 2025