Hootersがダラスで破産申請:何が起きたのか、そして今後の展望とは?



2025年3月31日、アメリカのカジュアルダイニング業界で長年親しまれてきた「Hooters(フーターズ)」が、連邦破産法第11章の適用を申請しました。申請先は本社のあるジョージア州アトランタではなく、テキサス州ダラスにある連邦破産裁判所であったことが注目を集めています。

The Dallas Morning Newsによると、破産申請の目的は、アメリカ国内にある直営店舗151店すべてを、創業者の関係者が支援するフランチャイズグループに売却し、約3億7,600万ドルの負債を整理することです。なお、ダラスを含む全店舗は営業を継続する予定です。

▼なぜHootersは破産に追い込まれたのか?

Hootersは近年さまざまな課題に直面しており、それが財務状況の悪化に直結しました。その主な要因は以下の通りです:

1.消費者の嗜好の変化

The Wall Street Journalによると、近年の若者層を中心とした価値観の変化により、Hootersの代名詞でもあった「Hootersガールズ」や性的イメージに対する支持が減少。ブランドイメージが時代にそぐわなくなり、来店客数が減少しました。(出典:WSJ

2.債務の増加と収益悪化

Business Insiderによると、グローバルに420店舗以上を展開していたにもかかわらず、競争の激化とコスト上昇により収益確保が難しくなり、約3億7,600万ドルの負債が積み上がったと報じられています。(出典:Business Insider

3.コロナ禍の影響

New York Postによると、パンデミック期間中は特に来店者数の激減とオペレーションコストの上昇が深刻化し、事業の継続に大きなダメージを与えました。(出典:NY Post



▼なぜダラスで破産申請を行ったのか?

本社はジョージア州アトランタにあるにもかかわらず、Hootersはあえてダラスの裁判所を選びました。その理由には以下のような点が考えられます:

  • 裁判所の専門性とスピード感

  • The Dallas Morning Newsによると、ダラスの連邦破産裁判所は企業破産の扱いに長けており、効率的な審理が期待される「ビジネスに優しい」裁判所と評価されています。

  • テキサスでの事業拠点

  • Hootersはテキサス州、特にダラス・フォートワースエリアに複数店舗を展開しており、地域における事業実態があるため、申請地としての正当性もあります。

  • 戦略的な再建スキーム

  • Reutersによると、今回の破産申請は、既存のフランチャイズオーナー(フロリダやイリノイで成功している事業者を含む)への事業売却とブランド再生の一環として計画されたものであり、裁判所の選定もその戦略の一部です。

▼ダラスとテキサスへの影響

ダラス近郊のHootersファンにとっては朗報です。破産申請中も店舗営業は通常通り継続される見込みであり、今後は創業時の精神に立ち返った「リブランディング」も期待されています。

今回の件は、ダラスが全米規模の企業再編や法的戦略の拠点として、ますます重要視されていることを示しています。

一見するとHootersの破産は時代の終わりのように見えるかもしれません。しかし、創業者陣による買収と再建の動き、そしてダラスという戦略都市での申請によって、ブランドは新たなステージへと進もうとしています。

Hootersは消え去るのではなく、「進化」していく様です。

ソース:The Dallas Morning NewsReutersThe Wall Street Journal

関連記事:
レッドロブスターが破産申請、ダラスの2店舗含む数十店舗の閉鎖後に再編へJune 16, 2024
ピザハット大手フランチャイズのPizza Hut、破産を申請へAugust 18, 2024