NEC、アメリカで新興9社設立

シリコンバレーのスタートアップ・エコシステムと連携し、研究所の技術を強みとした新事業開発会社「NEC X」は、ニューヨーク州に捜索支援サービスの「FLYHOUND(フライハウンド)」を設立した。

行方不明者が持つ携帯の電波をドローンがとらえ、コントローラー画面に対象者の電波から得た位置情報を示す。赤外線カメラを搭載した従来の捜索用ドローンでは、建物や樹木でカメラの視界が遮られる懸念があったが、新サービスは電波を識別するため、早く発見できる可能性が高まる。

NECはグループにAI(人工知能)や通信など幅広い知見を持ち、今回は欧州研究所の技術を活用した。

今回の新会社設立は、2018年7月に事業を始めたNEC Xの成果の一つ。過去4年半でFLYHOUNDを含め9社を興した。例えば、ネット通販の口コミ分析や、ブドウの剪定(せんてい)自動化の企業があり、数年かかるような事業を半年などの短期間で実現している。

スピードを上げる手法の一つは、外部人材との積極的な協業。NECが保有技術を公開して起業家らから事業のアイデアを募る。これまで5000人を超す起業家に接触しているようだ。

NECは26年3月期の中期経営計画で、売上高の目標を22年3月期の16%増に当たる3兆5000億円、営業利益を2.3倍の3000億円としている。

世界での5Gビジネス拡大などで成長を目指す。将来の市場性が見込まれるのは量子分野。従来の重点方針だった米国での事業開発は軌道に乗り始めている。

ソース:GLOBALNEWSWIRE