2022年上期、GDPマイナス成長続きでも景気後退には陥らず?【上期まとめ+第三四半期情報】

ダラス連邦準備銀行のまとめによると、米国のGDPは2四半期連続で減少したものの、所得や支出、雇用者数などの傾向からまだ景気後退には陥っていないという。

【景気後退とは】

一般的にGDPが2四半期連続で減少した場合、景気後退に突入したと言われる。全米経済研究所(NBER)はGDPに加え、個人所得や雇用者数、個人消費支出、卸売り・小売り物価変動額など様々な要素を調査し、景気後退時期を判断している。過去の景気後退時期のデータと2022年上半期を比較すると、景気後退のパターンには当てはまっていないという。

【2022年上期の米国経済(2022年8月レポート)】

米国のGDPは2022年第1四半期に1.6%減少、続く第2四半期は0.9%減少した。

図1はNBER委員会の各調査データを視覚的にわかりやすくするため、ダラス準備銀行が総合指標を作成したもの。1959年以降、景気後退(灰色のライン)のたびに総合指標はピーク時から低下している。これに対し、2021年12月から2022年5月までは順調に上昇し、5月から6月は横ばいとなっている。

図2は、過去の景気後退期と2022年の総合指数の推移を示したもの。過去の景気後退期では、いずれもピークから2ヶ月以内に100を割り込んでおり、6ヶ月目までの平均値は98.7であった。一方2022年の6月の指数は101.0であり、典型的な景気後退期の経路を大きく上回っている。加えて2022年6月までに失業率の上昇はみられなかったことも、2022年の上半期に景気後退が始まった可能性が低いことを示唆しているという。

【第三四半期はGDPがプラスに】

10月27日、BEA(アメリカ合衆国商務省経済分析局)が第三四半期(7月から9月)のGDP速報値を発表。実質伸び率は前期と比較し2.6%プラスになり、アメリカ経済は一時的な回復を見せている。(ESTA(日本語記事)より)