西海岸企業、テキサスではなくノースキャロライナを移転先に選ぶ理由は?

カリフォルニアの企業が税金を理由にテキサスに移転する動きは決して新しいものではない。しかし、サンフランシスコを拠点とするSmart Wireが今回、テキサスではなくノースキャロライナを移転先に選んだのは新しい動きである。

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同社はDurhamに研究開発のハブを計画しており、これにより250の職を創出すると見込まれている。

フロリダに拠点を置くコンサルタントのBoyd氏は、今回のSmart Wire社の動きは新しいトレンドを生むかもしれないという。実際に幾つかの企業が「Research Triangle」と呼ばれる3つの大学が存在するノースキャロライナの研究地域や、フロリダ州タンパ、テネシー州ナッシュビルを移転先として視野に入れているという。

2021年だけで、ノースキャロライナは大規模なプロジェクト2つを獲得。「Research Triangle」でアップル社による3,000の職を、DurhamではGoogle社から1,000の職を創出している。

人材の確保

Smart Wire社はコメントを控えてはいるが、ノースキャロライナの商務部がリリースしたメモ書きによると、オースティンはUniversity of TexasのSemiconductor Power Electronics Centerに近くその分野に適した人材の確保という観点から移転先として「可能性が大いにある」としていた。さらに、家賃が手頃で、テキサス州のインセンティブも優位点として挙げていた。

同社にとって人材の確保が優先になる。ノースキャロライナには現在45,000人のエンジニアがいて、過去数年で46%増、全米で第二位の伸び率だ。

インセンティブと住宅価格

住宅価格はノースキャロライナへのトレンドの一つに考えられる。富士フィルム社は725の職を創出したプロジェクトで、テキサスとノースキャロライナを検討した末に、テキサスが3億ドルのインセンティブをオファーしたにもかかわらずノースキャロライナを選んだ。

Taysha Gene Therapies社は、750万ドルのインセンティブでダラスへの移転オプションを蹴ってDurhamを選んだ。カルフォルニアのGrail Inc.社も1,150万ドルのインセンティブでヒューストンへの移転オプションではなく、トライアングルへの移転を決めた。

テキサスのチャプター313の固定資産税軽減プログラムが終わりに近づいていることから、ノースキャロライナがさらに有利になる可能性が出てきた。

Smart Wire社はグローバル本社と研究開発施設をノースキャロライナに移転する予定で、シニアリーダー、オフィス職、ラボテクを含む250人の従業員を置く。人事、経理、I T、法務部などのアドミン部門も同本社に構える予定で、さらにラボスペース(研究室)も本社内に置く予定だという。

参考;ダラス・ビジネス・ジャーナル
参考記事;「本社移転」 「統計」