テキサスのUTオースティンが志願者数で新記録!大学間格差がもたらす社会的影響とは?PART①
/2024年秋、UTオースティンが記録的な志願者数を達成 – 教育機関全体で入学者数が増加
9月に入り、多くの大学で新学年が始まりました。ここ数年、大学入学者数は減少傾向にありましたが、2023-2024年度には約1.2%の急増が見られました。特にコミュニティ・カレッジでの増加が顕著です。
我々の住むテキサス州にあるUT Austinでも2024年秋入学の学部志願者数が過去最高の73,000人になりました。UTシステムのフラッグシップ校としては記録的な出願数であり、カレッジ・マッチ・ポイントによると、例年より20%急増しました。
大学って本当に必要?
しかし、それでもなお、パンデミック以前の水準には達していません。この背景には、ますます多くの若者が学校を中退するか、最初から入学しないという選択をするようになったことがあると言われています。ギャラップ社が行った最近の世論調査によると、アメリカの成人のうち、高等教育に「大いに」または「かなり」信頼を寄せている人の割合が減少し、現在では40%を下回っています。また、実は25歳以上のアメリカ人のうち、学士号を持っているのはわずか38%であることに驚くかもしれないです。
このような状況下で、今回は「大学は何のためにあるのか?」という基本的な問いに立ち戻りたいと思います。
大学は教会と車のディーラーのハイブリッド?
エコノミストでVassar College元大学学長のキャサリン・ヒルは、高等教育機関を「教会と自動車ディーラーのようなもの」と表現します。大学は非営利団体ですが、それは利益を追求しないわけではありません。得た利益を株主に分配できないだけで、常に他校と激しい競争を繰り広げているのです。
マーケットでの差別化は企業だけの話ではなく、大学も例外ではありません。カレッジが差別化を図る一つの方法は「価格」。たとえば、コミュニティ・カレッジの年間授業料は平均して5,000ドル未満ですが、私立大学では平均して38,000ドルにもなります。
ヨーロッパの大学と比較すると、ドイツの公立大学は基本的に無料で、イギリスでもオックスフォードやケンブリッジのような名門校でも授業料の上限は12,000ドル程度。アメリカの大学制度には、このような価格統制が存在せず、価格競争が熾烈になっています。
なぜアメリカの大学は企業のように個性が際立っているのか?
アメリカの大学が授業料で差別化し、激しい競争を繰り広げるようになった背景は何でしょう?
その秘密は、アメリカの高等教育システムのユニークな成り立ちにあります。アメリカでは、大学の運営が市場の力に委ねられ、企業と同じように競争と差別化が進んできました。一方、ヨーロッパでは中世後期から国家が高等教育を計画的に管理しており、より統制の取れたアプローチが採られています。アメリカの大学がこんなにも多様で個性的なのは、市場の力が育んだ結果なのです。
ヨーロッパとアメリカ、大学システムの歩んだ道の違い – ヨーロッパ
大学の成り立ちは地域によって大きく異なります。例えば、ヨーロッパでは11世紀から12世紀にかけて設立されたオックスフォード大学、ボローニャ大学、パリ大学などがその代表例です。これらの大学は当初、教会によって運営され、長い歴史を持つ教育機関として知られていました。しかし、500年後の宗教改革を経て、多くの大学は政府の管理下に移り、今日でもヨーロッパの大学は政府の強い影響下にあります。この歴史的背景が、アメリカよりも教育の不平等や差別化が少ない安定した教育システムを生み出しています
ではアメリカの大学システムの成り立ちはどのようなものだったのでしょうか?次回のニュースレターで、その興味深い歴史と背景をお伝えします。お楽しみに!
https://freakonomics.com/podcast/what-exactly-is-college-for-update/
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