テキサスのソーセージ人気上昇、これは景気後退のサイン?
/アメリカでソーセージが売れると不況が近い?意外な経済のシグナル
ダラス連邦準備銀行が8月26日に発表したテキサス製造業見通し調査で、ある食品メーカーが注目すべき発言をしました。ディナー・ソーセージのカテゴリーが「穏やかに成長」しているとのこと。しかし、同社はこれを単なる好調と見ていません。驚くべきことに、ソーセージの需要増加はしばしば経済の低迷を示すサインだというのです。「このカテゴリーは、経済が弱っている時に成長する傾向にある。ソーセージは値段の高いタンパク質の代替品として優良で、消費者の食費の予算を『節約』することができるからだ」とコメントしています。
ソーセージだけが不況の兆候ではありません。インフレの沈静化が見られる一方、失業率は上昇し、雇用者数の伸びも鈍化しています。こうした状況を受け、FRBは金融引き締めを緩め、利下げサイクルに転じることが適切と判断するとみられています。
アメリカ経済の行方は?8月の指標
8月の消費者物価指数では、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比で+0.3%(7月は+0.2%)とやや加速しました。また、過去3か月の年率換算では+2.1%(前回は+1.6%)と、再び+2%を超えています。内容を見ると、商品の価格は6か月連続で下落し、デフレ傾向が続いている一方で、住居費が前月比+0.5%と上昇し、家賃が高止まりしています。
一方、8月の雇用統計では、失業率が4.2%(7月は4.3%)に低下し、非農業部門の雇用者数は+14.2万人増加しました。これは前月の+8.9万人から加速していますが、過去のデータが下方修正されたため、3か月平均では+11.6万人と低い水準に留まっています。全体として、雇用市場は弱まりつつあるものの、経済全体の指標を見る限り、景気後退の兆しはまだ限定的です。
FOMCの利下げ幅をめぐる市場の予想
9月11日時点のFF金利先物によるFedWatchのデータでは、9月のFOMCで0.25%の利下げが行われる確率は85%、0.5%の利下げが行われる確率は15%となっており、市場では0.25%利下げの見方が優勢です。しかし、9月FOMCの1日目には8月の小売売上高が発表され、もし弱い結果が出れば、消費の低迷から景気後退への懸念が一気に強まる可能性があります。
パウエル議長は8月下旬のジャクソンホール会合で「利下げのタイミングとペースは今後のデータ次第」と述べ、0.5%利下げの可能性を排除していません。FRB高官たちは、雇用市場の更なる悪化に対応する意向を示しており、金融市場ではハト派的に0.5%の利下げに踏み切る可能性が、会合直前までくすぶり続けるのではないかと注目されています
利上げペースはどうなる?注目が集まるFOMCの次の一手
FOMCメンバーが予想する利下げペースは、景気後退リスクの認識に大きく左右されそうです。もし景気が安定して「ソフトランディング」が実現するとのシナリオでは、インフレ再燃のリスクを考慮しつつ、四半期ごとに0.25%の利下げ、年間1%のペースが基本路線になると見られています。タカ派的なメンバーは、2024年末の政策金利を4.75~5.0%、2025年末には3.75~4.0%と予測しています。
一方、パウエル議長やFRB高官たちは、ソフトランディングを意識しつつも景気下振れリスクへの対応に慎重な姿勢を見せています。FRBのウォラー理事は「データ次第で連続利下げが必要になる可能性がある」とし、年内の9月、11月、12月にそれぞれ0.25%の利下げが検討されている可能性を示唆しています。このシナリオでは、2024年末の政策金利は4.5~4.75%、2025年末には3.5~3.75%と見込まれています。
さらに、FRBがよりハト派的な姿勢をとり、早期に中立金利へ近づける動きが加速する場合、年内に0.5%の利下げが実施され、2025年前半には連続的な利下げが現実味を帯びてくるでしょう。テイラールールに基づく分析では、最適な政策金利は2024年末で3.9%とされ、金融市場もこれに近い水準を予測しています。市場は、2024年末に4.25~4.5%、2025年末には2.75~3.0%と見込んでいます(9/11時点) 。今後のFOMCの決定は大いに注目されるところです。
ソース:
https://www.dallasfed.org/research/surveys/tmos/2024/2408#tab-comments
https://www.businessinsider.jp/post-292645