同じインフレ率でもNYとダラスでは理由が違う?!- ③TXのインフレ



前回のニュースレターでは、ニューヨーク州経済から見たインフレの背景についてお話ししましたが、今回は私たちが住むテキサス州に焦点を当ててみます。まずはニューヨーク州経済を考察した場合と同様に「労働者の数」と「労働者一人当たりの労働時間数」という2つの要素から労働力の供給状況を詳しく見ていきます。

テキサスの人口増加が示す活力

テキサス州の人口は過去20年間で驚くほど増加しており、2023年には約3,050万人に達しました。この成長は、他の州と比較しても非常に顕著であり、テキサスが経済的に活発であることを裏付けています。

各年の具体的な数値で示すと、2023年のテキサス州の人口は約3,050万人で、過去1年間で1.58%の増加を記録。また、2022年には1.59%の増加が見られ、ニューヨーク州とは異なり、テキサス州では人口の増加が労働力の増加にもつながっていると考えられます。

テキサスの労働時間

コロナ不況の始まった頃の2020年には36.2時間だった平均労働時間は2024年に35.5時間となり、約1.9%減少しています。テキサスでも労働者の週平均労働時間は減少していますが、下げ幅はニューヨークの4%に比べて少ないようです。
https://fred.stlouisfed.org/series/SMU48000000500000002

※余談ですが労働統計局のデータによると2022年にテキサス人は全米でも最も長い労働時間を記録しています。
https://www.dallasnews.com/business/2023/12/20/texans-are-clocking-more-work-hours-than-people-in-any-other-state-study-shows/




考察:テキサス経済のインフレの波

テキサス州では労働時間の減少が多少見られるものの、人口増加による労働者数の増加が続いています。
州内の経済活動は活発で、人口流入が供給側の人手不足を解消しているように見受けられます。しかし、なぜニューヨークエリアと同等のCPI(消費者物価指数)を示しているのでしょうか?

経済指標からの考察

1つに仮説として考えられるのは、テキサスでは人口増加による堅調な需要が、労働力増加による供給量以上に伸びているため、モノやサービスの価格が上昇する圧力がかかっているとも解釈できます。つまり州内の経済活動が活発な状態であるとも言えます。

州の経済レベルを図る指標であるGross State Product (GSP)(GDPを州レベルで推計した数値)を見てみると、2019-2024年のテキサスのGSP成長率は3.6%。一方で同時期のニューヨークのGSP成長率は1.3%に留まります。単にインフレ数値の比較でけではなく、複数の経済指数を見比べることでより正確な経済状況の把握が可能となります。

簡単な経済指標の比較からの考察になりますが、皆様のビジネスや日常生活における意思決定の一助となれば幸いです!それではまた!

ソース記事:

https://www.neilsberg.com/insights/Texas-population-by-year/

https://fred.stlouisfed.org/series/SMU48000000500000002

https://www.dallasnews.com/business/2023/12/20/texans-are-clocking-more-work-hours-than-people-in-any-other-state-study-shows/

https://www.ibisworld.com/united-states/economic-profiles/texas/#:~:text=What%20is%20Texas'%20Gross%20Domestic,average%2C%20using%20the%20chart%20below

https://www.ibisworld.com/united-states/economic-profiles/new-york/

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