ハリケーンで仕事が減る?テキサスの失業率と今話題のサームルールとは?わかりやすく解説します!PART②



8月2日に発表された雇用統計では、就業者の伸びが市場の予想を大幅に下回り、失業率は4.3%まで上昇しました。この結果を受けて、多くの市場関係者がアメリカ経済の景気後退を懸念しています。本当にこのままアメリカ景気が後退するのでしょうか?

今市場関係者が景気後退の1つの指標として注目しているサームルール(Sahm rule)について前回の記事で解説しました。

今回はサーム・ルール発動を単純に景気後退のサインとして解釈することが難しい現在の状況について分かりやすく説明します!

Photo by Kenny Eliason on Unsplash

現在の特殊な状況

サームルールは「失業率」の変化から景気後退の初期段階を判断します。ここで重要なのは、最近になって移民が急増したことにより、失業者(現在雇用されていない人々)の「構成」も近年で大きく変化していることです。



失業者の構成

失業者は大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されます:

①解雇された者
②(自ら)離職した者
③労働市場に新規参入する者

データによると、①と②のカテゴリーの割合の変化は過去の不況初期と類似していますが、③のカテゴリーに関しては異なる動きを見せています。過去の不況期では、③に該当する新規参入者の割合は低下していましたが、現在は横ばいのままです。つまり、移民による労働供給の増加が失業率を押し上げている可能性が高いのです。

例えば、ダラス・フォートワース都市圏では2022年から2023年までに約10万1,419人の人口増加があり、これは主に移民によるものです。我々の住んでいるテキサスの労働市場にも少なからず移民の増加が影響しています。

サーム氏自身も「近年移民が急増したことを含む労働力における劇的な変化が、以前の景気循環では見られなかったような形で失業率の変化に影響を与えているようだ」と述べ、市場の弱まりを誇張している可能性を指摘しています。

総合的な解釈の重要性

サーム・ルールは1つの経済指標に過ぎません。他の経済指標と合わせて総合的に解釈することが重要です。Sahm Ruleに類似するindicatorはいくつかありますが、機会があればまだ別の記事で解説します!お楽しみに!

Source:
https://www.businessinsider.com/sahm-rule-recession-outlook-indicator-triggered-unemployment-rate-jobs-report-2024-8

https://stayathomemacro.substack.com/p/sahm-thing-more-on-the-sahm-rule

https://fred.stlouisfed.org/series/SAHMREALTIME

https://www.gephyro.com/news/2024/4/14

関連記事:
ダラス・フォートワース経済5月の動向:雇用成長とインフレ上昇、住宅市場に変化
テキサス企業調査、AIの利用による雇用への影響は限定的と報告