テキサス新幹線ーアムトラックとテキサス・セントラルが新たなパートナーシップで再活性化【ダラスとヒューストン間の高速鉄道】

テキサス・セントラル・パートナーズとアムトラックは、提案されてから10年以上にわたり検討されているダラスからヒューストンへの高速鉄道プロジェクトについて、協力するためのパートナーシップを発表しました。

アムトラックは、2016年以来テキサス・セントラルとさまざまな取り組みを協力して行ってきました。そして、現在、両者はこの路線の実現可能性を評価するための潜在的なパートナーシップを検討しています。

アムトラックの関係者は「ヒューストンやダラスのような国内で最も大きな成長が著しい都市圏が、高品質の高速間都市鉄道サービスをもっと求めていると考えています。そして、私たちはこの潜在的なプロジェクトを評価し、テキサス・セントラルとの協力を通じて機会を探求することを誇りに思っています。これによって、テキサス州がその交通ニーズを完全に満たすことができるよう支援していきたいと思います」と述べている。

▼今までの経緯

テキサス・セントラルは、2013年以来、列車の運行を進めるために取り組んできました。ダラス―ヒューストン間約380kmを約90分で結びます。車両は日本の新幹線「N700S」をアメリカ仕様に改良し利用します。安全規則や環境影響評価などの整備は完了したが、肝心な資金のメドが立たず着工には至ってっていません。

2021年には潜在的な建設業者を見つけるなどの取り組みも行ってきました。しかし、このプロジェクトはテキサス州の政治家や経路沿いの土地所有者からの反対を受けています。2021年には6つの農村郡からのプロジェクトに対する訴訟が提起され、テキサス州議会はプロジェクトに対して州の資金を一切支出しないよう規定する法律を可決しました。

行き詰まりを迎える中、テキサス・セントラルのCEOであるカルロス・アギラーとその取締役は2022年6月に辞任しました。その後、コンサルタントであるマイケル・ブイがCEOとしてその座に就いています。

▼アムトラックが加わってからの展開

テキサス・セントラルとアムトラックは、さらなる調査および設計作業に関連するため、複数の連邦プログラムへの申請を行いました。これには、Consolidated Rail Infrastructure Safety and Improvements (CRISI) 補助金プログラム、Corridor Identification and Development プログラム、Federal-State Partnership for Intercity Passenger Rail (FSP-National) 補助金プログラムが含まれます。(*)

アムトラックは以前、テキサス・セントラルと合意し、計画されている高速鉄道路線に関してアムトラックの予約システムを使用した連絡切符の提供やその他のサポートサービスを行うことになっていました。

批判の声もありますが、このプロジェクトは社会的、環境的、雇用、経済的な利益をもたらすと予測されています。年間10万トン以上の温室効果ガス排出削減、6500万ガロンの燃料節約、I-45から1日あたり12500台の車両の排除などがその一部です。

Amtrakの発表には、ダラス市長とヒューストン市長の両方の声明が含まれており、テキサス・セントラルとアムトラックの協力関係を「ヒューストン市とこのプロジェクトにとって重要なマイルストーン」と評価しています。

ダラス市長のエリック・ジョンソン氏は、「ダラスは全米で4番目に大きく、最も急速に成長している地域のエンジンです。「このような大胆で革新的な試みこそが、ダラスをさらに豊かな未来へと前進させるのです。高速鉄道路線は、当地域の交通に革命をもたらし、経済成長の起爆剤となり、テキサス州の住民や企業間の結びつきを強化するでしょう。

(＊補助金とは、バイデン政権が2021年3月に発表した総額2.3兆ドル(約334兆4460億円)の巨額のインフラ投資計画を原資としたもので、うち800億ドル(約11兆6320億円)が鉄道の整備にあてられます）