なぜウォーレンバフェットは日本の総合総社(Sogo-shosha)に投資するのか


ダラスのコロニー市へも投資していることで知られる投資家のウォーレンバフェット氏が、日本の総合総社への投資比率を引き上げたというニュースがありました。では、なぜバフェット氏は日本の総合総社に魅力を感じているのでしょうか。

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バフェット氏の日本への投資

日本株が昨年末から約15%上昇し、その傾向は円安とインバウンド観光による経済活性化を反映していると言われています。しかし、その背景には投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の商社への投資を7.4%まで引き上げ、他の海外投資家もこれに追随したという事実があります。

バフェット氏は、日本の総合総社5社(伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事)がバークシャー・ハサウェイと同等の価値を持つと認めています。これらの企業が多様な投資ポートフォリオと共に価値とキャッシュフローに焦点を当てている点を評価しました。

バフェット氏がこれらの企業に投資する魅力についてのヒントを以下に説明しています。

1.バフェットが注目する日本株の背景: 侍から商社へ

バークシャー・ハサウェイが投資した5つの企業は、日本の大手総合商社です。これら商社の主な役割は、資源が乏しい日本へエネルギーやミネラル、食料を輸入し、一方で完成品を輸出することです。

総合商社は日本のビジネス界で特別な地位を占めており、それは日本の独特な歴史に由来します。侍時代の徳川幕府は日本を世界から閉ざし、200年以上経った19世紀に貿易が開放されました。その後、急速な近代化の過程で、17世紀に起源を持つ財閥が重要な貿易の役割を果たし、国家政策に対する影響力を強めました。そして大日本帝国は短期間で西洋の列強に追いつき、長い軍事紛争に巻き込まれたという経緯があります。

2.戦後から90年代まで: 商社のリセッションと再編

その後の第二次世界大戦後、連合国による日本占領下で旧来の財閥は解体・再編され、銀行を中心に相互持株関係を持つ企業群(系列会社またはkeiretsu)が誕生しました。これら企業群は戦時の荒廃から日本の再建に貢献し、再び富と影響力を蓄積しました。商社は、その海外のつながりを利用して日本の製造業者の海外ビジネス展開を支援し、系列会社システムの重要な役割を果たしたのです。

しかしながら、1990年代初頭からの長期的なリセッションの影響で、系列会社の影響力が減少し、商社の役割も同様に縮小しました。静岡大学の竹下誠次郎教授によると、「製造業者が自力で交渉できるようになった事から、商社の役割は大幅に減少しました。それに伴って、商社はエネルギーや天然資源など、多様な分野への多角化を進めていった」とのことです。この多角化が、現在の商社の在り方に影響を与えています。

3.商社の新たな収益源: 貿易以外の活動

現代の日本の商社は、従来の貿易だけでなく多岐にわたる非貿易活動からも収益を得ています。物流、不動産、冷凍食品、航空宇宙、電動車、再生可能エネルギーなど、様々な分野への投資を行っており、これらの関連ブランドは日本国内で広く知られています。

商社とその関連企業は、40の企業と20の団体を代表する商社業界グループで、全世界の200以上の都市に5,900の企業と46万人の労働者を持っており、彼らの幅広く複雑なビジネス活動は一部の投資家にとっては理解しにくいため、過小評価されていると考えられています。それは同時に、投資家の観点からは魅力と見ることが出来るのです。

バフェット氏は、「これからも日本企業の投資先を探していく」と述べており、日本の総合総社はこれからも注目の投資先になるでしょう。

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