Baylor、コロナウイルス変異株への新薬の臨床試験を行う
/北テキサスで、コロナウイルスの変異株に対する新薬が臨床試験にかけられる、とダラス・モーニング・ニュースが報じた。
Eli Lilly社とバンクーバーに拠点を置くAbCellera Biologics社が開発したモノクローナル抗体であるこの新薬は、英国、南アフリカ、ブラジル、カリフォルニア、ニューヨークで最初に発見された変異株を中和することに成功している、という。
「同抗体は、ウイルスに付着して、現在世界で認知されている変異株を阻止する」とAbCellera社のCEOであるHansen氏は説明。また、同抗体はインドで見られるいわゆる二重変異株を中和することができるという。
LY-CoV1404として知られるこの新薬は、少量の摂取で効果がありそうで、長時間の点滴ではなく、注射としての投薬で済む可能性が大きい。
最近コロナウイルスに罹った健康な成人を対象に、Baylor University Medical Centerの医師らによって北テキサスにおいて臨床試験が行われる予定。モノクローナル抗体は、現在入院していない、65歳以上を含む重疾患のあるハイリスク患者を対象に現在投薬されている。これまでの臨床試験では、コロナウイルスの症状が発生してから数日以内に投薬された場合、入院の可能性を70%減少しているという。
3月に米食品医薬品局(FDA)は、Eli Lilly社の抗体組み合わせは、南アフリカとブラジルの変異株には効かない恐れがあると警告している。Eli Lilly社のパートナーであるAbCellera社は、1月に回収されたコロナウイルスに罹った患者からの血液サンプルをスクリーニングし、新しい変異株に対応できる化合物を探してきた。「変異株の種類にかかわらず、この抗体は効力があると見ている」とAbCellera社のBarnhart氏。
現在米国における感染の新しいケースのほとんどが、英国の変異株であるが、テキサスでは全ての変異株が見つかっている。4月26日の週に、UT Southwesternはダラス・フォートワース地域でのブラジル変異株の最初のケースを報告。変異株はオリジナルのウイルスより早く感染を広げると言われており、免疫システムから上手くすり抜けるという兆候も見せているという。今のところ、ワクチンがこれらの変異株に効果的であるようだが、モノクローナル抗体も、ワクチンを接種していない人や免疫システムが低下している人にとっては重要なオプションだと専門家はいう。
Baylorが行うこの臨床試験は、18歳〜64歳までの成人で過去3日以内に感染したが入院していない人が対象。65歳以上またはハイリスクの人は次の段階の臨床試験で対象になり得る。臨床試験へボランティアで参加した人は電子メールで問い合わせできる(pyah@bswhealth.org)