テキサス州、コロナ感染拡大を受け9市長が州知事にマスク着用規則の制定権を要求

テキサス州のダラス市、ヒューストン市やサンアントニオ市など州内9都市の市長は、2020年6月16日、グレッグ・アボット州知事宛てに連名で書簡を送り、フェイスカバーの着用に関する規則を、各市の裁量で制定する権限を認めるよう知事に求めたことをJETROが発表した。

9都市の人口は約867万人(2018年推計)に上り、テキサス州の人口約2,890万人の3割に相当する。

スクリーンショット 2020-06-19 9.44.02.png.png

マスクなどのフェイスカバーに関しては、トラビス郡(オースティン市)が4月13日、ダラス郡(ダラス市)が4月17日、ベア郡(サンアントニオ市)が4月19日、ハリス郡(ヒューストン市)が4月22日に着用を義務化し、違反者は罰金などの罰則適用対象になりうる行政命令を出していた。

これに対し、アボット州知事は4月27日の州知事令で、フェイスカバーの着用は推奨しつつ、着用しない個人への罰則を科すことはできないとした。また、新型コロナウイルス感染症の災害対応では、州知事令に抵触する州内各都市の命令は、州知事令に置き換えられると規定した。各市は以降、罰則の適用を行わないこととしてきた。

今回9都市の市長がフェイスカバーの着用義務について、裁量権を求めた背景には州内での感染者の増加がある。同州の1日当たりの平均新規感染者数は4月の827人から5月の1,168人、6月の1,885人(6月17日時点)と増えており、6月16日には過去最多の4,098人に上った。9市長の書簡では、経済活動を維持しつつ、新型コロナウイルス感染症から人々を守る最善の道の1つがフェイスマスクの着用だが、多くの人が着用を拒んでいる、との問題意識を記している。

また、ベア郡は6月17日、人同士の距離が十分保てない場合などには、従業員や来訪者にフェイスカバーを着用させるよう、郡内企業に対して5日以内に体制構築することを求め、違反した事業者は1,000ドル以下の罰金の適用対象になりうるとする行政令を出した。マスク着用をめぐっては、アボット知事はあくまでも市民を罰則の適用対象にすることはできないとの立場で、ジョン・ウィットマン州知事報道官は地元放送局に、企業を罰則適用対象とするベア郡の行政令は州知事令に「反してはいない」とコメントしている。


又、本記事の詳細調査等ご希望の方はこちらまでご連絡ください。