米国、メキシコ人の労働者不足について

ダラスの屋根施工会社、キング・オブ・テキサス・ルーフィング(King of Texas Roofing Co.)は、メキシコ人労働者不足のために過去2年に2000万ドル相当のプロジェクトを断ったという。

同社のオーナーNelson Braddy Jr.氏によると、メキシコ人労働者がいなければ、業界は行き詰まるという。同社はダラス郊外の北米トヨタ新本社の建設にも参加している。但し、屋根職人を60人雇うことも厳しくなっており、現在の人手不足は過去最低だという。尚、低技能労働者に頼る多くの事業主によると、問題は米国に向かうメキシコ人が少なすぎることであり、多すぎることではない。

米経済の安定した回復のおかげで雇用が加速し、労働市場が活発になっていることから、低技能労働者を必要とする雇用主は人材獲得で苦戦しているようだ。一因になっているのが、サービス業や建設、農業といった業界を支えてきたメキシコ人労働者の不足だ。

メキシコからの移民減少の背景にはいくつか要因がある。メキシコ人の家庭で小家族化が進み子供の教育水準が上昇していること、メキシコのいくつかの州が若者の危険な米国行きを思いとどまらせるキャンペーンを開始したこと、麻薬組織が支配していることも多い地域や以前よりずっと管理の厳しい国境を通過するために密入国業者に支払う金額が上昇していること、などだ。

今後、ドナルド・トランプ次期米大統領が不法移民を送還する法を強化した場合、状況はより悪化するのではないかと業界では懸念されている。