テキサス企業調査、AIの利用による雇用への影響は限定的と報告



ダラス連邦準備銀行のテキサスビジネスアウトルック調査(TBOS)によると、テキサス州の企業の約40%がAIを利用しており、16%が今後12ヶ月以内に導入を予定しています。TBOSは企業がどのようにAIを利用しているかを把握し、政策立案者に雇用や生産性の変化を理解するための考察を提供しています。

AIの利用は主に大企業で進んでおり、500人以上の従業員を抱える企業が小規模企業に比べて多くAIを採用しています。しかし、小規模企業では、労働力や時間、専門知識の不足によりAIを利用することは比較的難しいとされています。下記の図では企業の種類別のAI利用の割合を示しています。

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また、AIの主な利用分野は、ビジネスアナリティクスや顧客サービスであり、小規模企業ではマーケティングやプロセス自動化に利用されています。また、ヘルスケア業界では、今後12ヶ月以内にAIを導入する計画が多く、他の大規模産業よりも高い割合です。

下記の図は業種別のAI利用状況の調査データになります。専門職やビジネスサービス、金融活動などのホワイトカラー産業でのAI利用が最も多く、レジャー・ホスピタリティや製造業では最も少ないという結果になります。

下記のグラフではAIの利用による人材の雇用への影響の調査です。AIの採用による雇用への影響は現時点では限定的で、多くの企業はAIが労働者の必要性に影響を与えていないと報告しています。AIは生産性を向上させる一方で、従業員の削減には至っていないとの結果となっています。

ただし、一部の企業では、AIにより業務が自動化され、特に低スキルの職種での雇用削減が見られます。これにより、データ分析型経済に適応するための新しいスキルの習得が求められています。つまり、AIに代替される低スキルの職種は今後仕事が現象する可能性、そしてAIを使う側の職種では需要が増えていくという傾向を示唆しています。



以下の図は、AIを使うことのメリットを示しています。AIの利用による生産性の向上が最も大きなメリットとされており、特にプロフェッショナルおよびビジネスサービス、ヘルスケアで顕著です。これにより、低スキル労働者が経験曲線を上昇するのに役立っています。AIによる情報の質とタイムリーさの向上も大きな利点とされています。

一方で、誤情報やプライバシーの問題が主要な懸念事項として挙げられています。生成AIを利用する企業では、特にこれらの問題が深刻です。また、AIが高スキル労働者の収入を補完することで、所得格差が拡大する可能性も指摘されています。

企業におけるAIの活用は、今後さらに進展することが予想されます。このため、AI導入のメリットとデメリットを十分に理解し、適切に対応することが不可欠です。また、AIが将来的に雇用に与える影響についても慎重に監視する必要があります。企業は、AI技術を効果的に活用しつつ、その影響を総合的に評価することで、持続可能な成長を目指すべきでしょう。

Source:Federal Reserve Bank of Dallas

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