パンデミック影響:北テキサスのオフィス空室率上昇とアパート転換トレンドの加速

北テキサス地域のオフィス空室率が20年ぶりの最高水準に達しました。

その背後には企業がパンデミックの影響でオフィスから撤退し、ダラス-フォートワース地域のオフィスビルの空室が増えた事があります。2023年半ば現在で、約5000万平方フィートのオフィススペースが空き、リースの回復が進まなければその数はさらに増え、最終的には空室率が27%にまで上昇する可能性が出ています。

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ダラス地域のオフィス勤務者のうち約62%しか現在ビルに戻っておらず、これは最も出勤率の高い日の数値です。週の出勤率が最も低い日、たいてい金曜日になると、僅か40%以下の人々がオフィスに足を運びます。この空きオフィスの問題はダラス-フォートワース地域だけでなく、全米の大都市でもパンデミックや労働環境の変化によって生じており、それぞれの都市がこの問題に対処しようとしています。

多くの雇用主がパンデミック中に自宅勤務を導入しましたが、その後スタッフをオフィスに戻すのが難しくなっています。

さらに、McKinsey Global Instituteの新たな予測では、2030年までにオフィスの空室率がパンデミック前のレベルを下回る可能性があります。最悪の場合、一部の大都市ではオフィスへの需要が40%減少する可能性もあるとのことです。

空きオフィススペースの問題解決策として、アパートやホテル、倉庫への転用が考えられています。

特にダラス市は、既存の建物を新たな用途に適応させる適応再利用プロジェクトに全米から注目を集めており、具体的には、既存のオフィススペースを住宅へ転換するプロジェクトを積極的に推進しています。ダラス市は全米で10位のアパート転換予定数を誇っており、近年ではオフィスタワーや古い建物をアパートに変換するトレンドが全米で見られ、パンデミックによるオフィススペースの空洞化や働き方の変化に対応しています。

ダラス市ではダウンタウンのタワービルのフロアをアパートに転換し、新しいアパートの開発を進めています。そして今後数年で1,912の新たなアパートへの転換を計画し、全米で10位にランクインしています。特に注目すべきは、ダラス市の未来のアパート転換の約80%が再利用されたオフィススペースであることで、これは他の主要都市(L.A.、ニューヨーク市、シカゴ)を上回る数字です。

この転換プロジェクトは、50階建てのサンタンデールタワーやダラスで2番目に高いビルであるコメリカ銀行タワーといったランドマーク的な建物にまで及び、ダラスの都市景観を大きく変える可能性があります。これらのプロジェクトが実現すれば、ダウンタウンダラスは都市部の住宅開拓者にとって魅力的な地域となる可能性があります。

ダラス市のこれらの動きは、パンデミック後の新しい生活様式に対応する都市計画の一環と言えるでしょう。特にダラス市は、多くのアパート転換プロジェクトがまだ計画段階にあるため、近い将来には都市風景が大きく変わる可能性があります。

Source: Dallas InnovatesDallas Morning News

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