テキサス州に躍進:国立半導体技術センター設立と半導体産業への巨額投資【DALLAS,AUSTIN】


米国のリーダーシップを回復するための重要な政策である半導体推進政策にて、テキサス州が重要な役割を果たしています。

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議会は8月に、米国の半導体産業を活性化し、国内のイノベーションエコシステムを再生することを目指した「CHIPS for America」を通じて半導体製造と研究に530億ドル(約7兆円)を承認しました。この資金には、研究開発に110億ドル(約1.5兆円)が含まれており、その中心的なテーマは全範囲の先進チップの能力に基づいた新産業を生み出すことを計画している「国立半導体技術センター」となります。

米国上院議員のテッド・クルーズ氏は、ダラス訪問時に、この「国立半導体技術センター」の立地としてテキサス州を推進するよう訴えました。この国立半導体技術センターでは、研究、生産能力、投資ファンド、労働力開発プログラムを含む包括的な半導体研究開発プログラムを開発する予定です。

また、テキサス州のグレッグ・アボット知事は、2021年10月に設立された「全米半導体センターテキサス特別部」を通じて、連邦政府が資金を提供する半導体の研究開発をテキサスに呼び込むための推進を行ってきました。

テキサス州では、既にダラスやオースティン地域に数十億ドルが新たな半導体製造施設に投資されており、クルーズ氏は、立地選定が政治的な意向ではなく、地域のメリットに基づいて行われるならば、テキサス州がセンターの立地となる可能性は高いと述べました。

テキサスには企業からの投資も続いています。例えば、ダラスを本拠地とするTexas Instruments(TI)は、ダラス北部のシャーマンに300億ドル規模の半導体製造キャンパスを設立し、これがテキサス州最大の製造施設となる予定です。この拡大により、約4,000の新たな雇用が生み出され、地元経済に何十億ドルもの貢献が見込まれています。

また、台湾のGlobalWafers Co.の子会社、GlobiTechがシャーマンに50億ドルの半導体製造工場を建設中で、これにより1,500人の新たな雇用が生み出される予定です。さらに、韓国のSamsung Electronicsはテキサス州テイラーに170億ドルの半導体製造工場を拡大する計画を持ち、オースティン周辺に最大11の半導体施設を設立する可能性があります。

その一方で、米国が台湾に依存している部分も指摘されています。上院議員のテッド・クルーズ氏は、米国が台湾に依存した半導体生産から自由になることの重要性を強調しました。彼は、米国で使われる電子機器の大部分に台湾製チップが使われていることを指摘し、米国の台湾製チップへの依存が、経済的な観点からだけでなく国家安全保障の観点からも深刻な脆弱性をもたらしていると指摘しています。

米国の政策や企業の投資により、今後もテキサスは半導体製造業界の中心地として重要な役割を果たしていくと考えられています。

上記は2016-2018年頃のダラスで開発ラッシュ時の写真です。当時の開発光景が浮かんで来ました。当時は半導体工場が建設されるとは考えてもいなかった頃です。トヨタ北米本社やフリスコThe Stars建設中のものです。

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